【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 離れようと身体をよじろうとした瞬間、耳元でカミルが囁いた。

「ごめん、ルフィナ。きみを不安にさせたと思う。だけど俺にはきみだけだ。きみを抱きたいと思う気持ちはあるし、それは嘘じゃない」

「でしたら、どうして」

「最初の晩に言っただろう。俺は、きみに無理をさせたくない。痛い思いをさせたくないんだ」

「痛みなんて……」

「だってあの夜、きみは痛いと泣いていただろう。あれ以上の痛みを、きみに与えたくない」

 ため息をついて、カミルがルフィナの背中に手を回した。更に密着が深まって、この激しい鼓動が彼に伝わってしまうかもしれないとルフィナは少し動揺する。

「だから、少しずつ慣らしていく必要があると思う」

「慣らす?」

 よく分からない言葉に首をかしげると、耳元で小さく笑ったカミルの手がルフィナの腰に触れた。エスコートする時よりも明確に撫でるという意思を持ったその手に、ルフィナは思わず身体を震わせる。

「俺も、色々と限界なんだ。だけど、ベッドだときっと見境なく襲いかかってしまう。ここなら多少は自制が利くかなって思って、それで」

「カミル様? 仰る意味がよく分からなくて……」

「大丈夫、人払いはしてあるから、誰も来ない。俺ときみの、二人だけだ」

「え?」

 戸惑うルフィナを抱き寄せたカミルは、自らの膝の上にルフィナを座らせた。こんな体勢で密着したことなど初めてで、ルフィナは思わず小さく声をあげてしまう。

「あ、あの、カミル様?」

「怖がらないで、ルフィナ。どうか俺を受け入れて」

 願うように言って、カミルがそっとルフィナの頬に触れた。次いで重ねられた唇に、思わず目を見開いてしまう。
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