【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 最初は触れるだけのキスだったはずなのに、気づけば熱い舌がルフィナの口内をまさぐっている。くぐもった声を漏らすルフィナの言葉さえ奪うように、舌が絡みついてきて逃げられない。

「……っあ、ふぁ」

「可愛い声だ、ルフィナ。きみのそんな声を、ずっと聞きたかった」

 微かに唇を離した状態で、カミルが囁く。間近で細められた金の瞳は、優しくルフィナを見つめている。甘いその眼差しをとろんとした気持ちで見つめ返していると、再び唇が重ねられた。

 今度は最初から深いキスで、舌を絡め合う心地良さにルフィナも溺れる。初夜に交わしたキスよりも、今の方が更に甘い。
 やがて、肩を抱いていたカミルの手がゆっくりとルフィナの胸元へと移動してきた。ドレスの上からそっと包み込むように胸に触れる手は、やはりあたたかい。暴れ出しそうに激しい鼓動は、きっと彼に伝わっているだろう。

「ルフィナ、いい?」

 至近距離で囁かれた声は、ルフィナに何かの許可を求めているようだ。よく分からないものの、彼のすることをルフィナが拒絶するわけがない。こくりとうなずくと、嬉しそうに笑ったカミルが一度強くルフィナの身体を抱き寄せた。

 うっとりと身体を任せようとしたその瞬間、ふわりと鼻腔を掠めた香りにルフィナはハッと息をのむ。
 それは、アルゥの香り。サラハのつけている香水の香りだ。

「……っ嫌」

 思わずカミルの胸に腕を突っ張ると、抱きしめる腕が緩んだ。そのままルフィナは立ち上がって、距離を取る。

「ルフィナ?」

 怪訝な表情のカミルを見つめて、ルフィナは何とか笑おうとした。だけど、唇が震えるだけで笑えない。
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