【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「ホロウードの妖精姫たるルフィナ様なら、あとから迎えた側妃の方が寵愛を得ることもあるって、よくご存知かと思ったのですけれど」

「……っ」

 両親のことを暗に示されて、ルフィナは思わず口をつぐむ。王妃を差し置いて王の寵愛を受けた側妃の子、それがルフィナだ。どこまで調べたのか分からないが、サラハはルフィナの過去を知っているらしい。
 黙りこくるルフィナを見て、サラハはとどめとばかりに鞄の中からネックレスを取り出した。

「そしてこれが、わたくしがカミル様に愛されている何よりの証拠ですわ」

「それ、は」

 サラハの手の中で輝くネックレスを見て、ルフィナは息をのんだ。
 黄金に輝くコインに彫られているのは、釣鐘状の花。下を向いて咲く花のひとつひとつに白く輝く真珠が埋め込まれている。それは、ルフィナがカミルにもらったリリベルの花のネックレスにそっくりだった。一度しかサラハに見せていないはずのネックレスとほとんど同じものが、彼女の手にあるなんて信じられない。やはりカミルがサラハに送ったものなのだろうか。

「ルフィナ様のものは、屋台で購入したものなのでしたっけ。わたくしのものは、金細工で有名な王家御用達、ラトル家の職人に作らせたものですの。カミル様、わたくしの身体を飾るものは最高級のもので揃えたいからと仰って」

 ネックレスに口づけたあと、身につけてルフィナを見るサラハは、まるでルフィナが泣き出すのを待っているかのようだ。
 しばらく見つめてもルフィナの表情が変わらなかったからか、彼女は少し不満げに鼻を鳴らすと指先でネックレスを弄んだ。
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