【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「とにかく、本日を持ちまして閨教育の講義は終了とさせていただきますね。少しでもルフィナ様のお役に立てればと思っておりましたが、残念な結果となったこと、わたくしも申し訳なく思っておりますわ。ですが全てはカミル様のお心のままに。わたくしがカミル様をお慰めいたしますから、ルフィナ様はどうぞご自分の人生を楽しんでくださいませ」

 にっこりと笑ってそう言い残し、サラハは綺麗なお辞儀をして部屋を出て行った。

 ◇

 しばらくぼんやりとソファに座っていたルフィナは、のろのろと立ち上がると窓を開けた。吹き込んでくる風がアルゥの甘い香りをどこかにやってくることを願いながら、風に当たる。

 サラハの勝ち誇った顔が頭から離れない。これからは、カミルとサラハが寄り添う様子をそばで見ることになるのだろうか。
 カミルに抱いてもらうためにと努力していたはずなのに、こんなことになるなんて。閨教育を受けたいなどと言い出さなければ、サラハのことも知らずに済んだはずなのに。

「最初から、政略結婚だもの。愛されたいと望むこと自体が、無理だったんだわ」

 ぽつりとつぶやいて、ルフィナは込み上げた涙を何度も瞬きすることで堪える。一度泣いてしまったら、もう立ち直れないような気がした。

 宝石箱の中にしまったネックレスを見つめ、ルフィナは唇を噛む。嬉しかったのに、大切にしていたのに、同じものをサラハに贈るなんて。

「だけど、これをいただいたときの思い出だけは……私のものよ」
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