【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
そう言ってサラハは、鞄の中からアルゥの実を取り出した。兎獣人の一族のみが栽培方法を知るアルゥは、定期的に王にも献上されている。どうやらサラハは、アルゥの実を届けに来たところだったようだ。甘く爽やかな果実はカミルもお気に入りで、乾燥させたアルゥの実を執務中の口寂しい時によく食べている。甘いものが好きなルフィナも、きっと気に入るだろう。
「ありがとう、サラハ」
「どうぞカミル様ご自身の手で、ルフィナ様に食べさせて差し上げてくださいな。体調の悪い時の女性は、愛する人からの優しさが特に身に染みるものですのよ」
そう言って笑うサラハの言葉に、確かにこの甘い果実をルフィナに手ずから食べさせてやるのもいいかもしれないなどと考える。思わず緩んだ頬を隠すように頬を押さえつつ、カミルはアルゥの実を受け取った。
◇
「ルフィナ?」
部屋を訪ねると、彼女はソファでぼんやりとした表情で本を読んでいた。声をかけると、ハッとした表情で顔を上げて笑顔になる。だがその顔はどこか疲れているように見えて、サラハの言う通りだとカミルは胸が痛くなった。
「体調はどうだ、あまりにしんどいようなら医者を……」
「大丈夫です、もうすっかり良くなりました。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「だが、顔色が良くない」
そっと触れた頬は驚くほど冷たくて、カミルは息をのんだ。血の気のない顔で、それでもルフィナは微笑みを浮かべて大丈夫だと繰り返しつぶやく。
「体調が悪いのに外に連れ出して……悪かった」
「ありがとう、サラハ」
「どうぞカミル様ご自身の手で、ルフィナ様に食べさせて差し上げてくださいな。体調の悪い時の女性は、愛する人からの優しさが特に身に染みるものですのよ」
そう言って笑うサラハの言葉に、確かにこの甘い果実をルフィナに手ずから食べさせてやるのもいいかもしれないなどと考える。思わず緩んだ頬を隠すように頬を押さえつつ、カミルはアルゥの実を受け取った。
◇
「ルフィナ?」
部屋を訪ねると、彼女はソファでぼんやりとした表情で本を読んでいた。声をかけると、ハッとした表情で顔を上げて笑顔になる。だがその顔はどこか疲れているように見えて、サラハの言う通りだとカミルは胸が痛くなった。
「体調はどうだ、あまりにしんどいようなら医者を……」
「大丈夫です、もうすっかり良くなりました。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「だが、顔色が良くない」
そっと触れた頬は驚くほど冷たくて、カミルは息をのんだ。血の気のない顔で、それでもルフィナは微笑みを浮かべて大丈夫だと繰り返しつぶやく。
「体調が悪いのに外に連れ出して……悪かった」