ないものねだり
Ⅱ.壊れた心1
毎朝4時の目覚ましが鳴る。
まだ少し肌寒い中、制服を着て調理場に向かう。
高校生の先輩たちが変わり映えのない具材を、
一定の速度で切っていく。
私の担当はこの時は主に配膳だった。
具材を切ったり、調理するのは中学2年生ごろからだと聞いている。
人には得手不得手があるから、徐々にできるようになることが目的らしい。
そんな事よりも、
どこの中学生が朝4時に起きて、大量の朝食を作ってんだ!
こんな中学生数少ないぞ!と毎朝のように思いながらあくびをしていた。
少し時間がたつと、住み込みの先生たちが起きて調理場に入ってきた。
「いつまでそれやってんの?」
中学に上がることで変わった私の担当、黒木先生の声。
挨拶もなしに、最初からそれですか…。