ないものねだり

黒木先生は、嫌な噂が絶えない先生だった。

私が小学生までいた寮までにもその噂は届いていた。


”気に入らないことがあるとすぐ殴る”

”機嫌が悪い時には近づくな”


一度だけ見たことがあった。

高校生のお姉さんと一緒にバレーボールをしていた。

お姉さんは、すごく面倒見のいい人だった。

大好きなバレーボールを教えてくれたのもこの人だった。

私が1人でいる時、泣いている時、いつも私の傍にいてくれる。

そんな優しい人だった…。

ある日私とバレーボールを楽しんでた時、

私が夢中になり、それぞれの寮に帰る時間が遅れた時があった。


「一緒に謝ろうか」


と私に優しく言ってくれた。

寮への帰りの坂道を手をつないで登り終えると

黒木先生がいた。
< 4 / 40 >

この作品をシェア

pagetop