ないものねだり
黒木先生は、嫌な噂が絶えない先生だった。
私が小学生までいた寮までにもその噂は届いていた。
”気に入らないことがあるとすぐ殴る”
”機嫌が悪い時には近づくな”
一度だけ見たことがあった。
高校生のお姉さんと一緒にバレーボールをしていた。
お姉さんは、すごく面倒見のいい人だった。
大好きなバレーボールを教えてくれたのもこの人だった。
私が1人でいる時、泣いている時、いつも私の傍にいてくれる。
そんな優しい人だった…。
ある日私とバレーボールを楽しんでた時、
私が夢中になり、それぞれの寮に帰る時間が遅れた時があった。
「一緒に謝ろうか」
と私に優しく言ってくれた。
寮への帰りの坂道を手をつないで登り終えると
黒木先生がいた。