凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
結局寝ずに朝までイチに付き合わせて、そのまま二人で床で寝落ちしてその日もイチを拘束し、月曜日。

「なぁ。まじで」

「どした」

「どうしたじゃねぇよ。俺は今日から仕事なわけ。さっぱり帰してくれねーじゃんかよ!」

イチを会社まで乗せていく俺にギャーギャー文句を言う弟くん。

「まぁまぁ。帰りも迎えきてやっからよ。夜飯も奢るし」

「そういう問題じゃねー」

ははは。

「しかもこんなでけぇ車に乗ってさ。目立つ」

「そうか?」

「そんな絵だらけで」

「クククっ」

文句ばっかで可愛い奴だ。

「なんでセダン乗んねぇの? スポンサーから支給されてんのあんだろ」

「いやほら、目線違うじゃん」

「くだらなっ。あ、ここでいい!」

「なんで。中まで送るし」

「いいんだよここで!」

「あそう? んじゃ行ってらっしゃい。頑張れよー」

「…行ってきます。ありがとう」

なんだかんだでちゃんと礼を言うところが憎めないんだよな。
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