凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
すると彼がまた振り向いて歩きながら、怪訝な顔をして私を見下ろす。

「ええ、大丈夫ですよ」

そう言って、死んでる魚みたいな目をして口元だけ微笑んだ。

いや、絶対大丈夫って顔じゃなくない?

「私なら怒鳴ってたかもしれません」

彼はそう言った私を見るだけ見て、会釈をしたと思えば歩く速度を速めて立ち去ってしまった。

愛想がいいのか悪いのかわかんないな。
しかも全く眼中になさそうな反応だ。

まぁ、いっか。

とりあえずお手洗いに行こう。

お手洗いに行って用を済ませて出ると、なんとまたさっきの彼と鉢合わせしてしまった。

お互い目が合い、気まずさからとりあえずペコっと会釈をした。

そして彼が歩き出す。

あー…そっちなの?

私もそっちに行くんだよね…
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