凄腕レーサーは中身も最上級〜夢見る乙女を眠らせない〜
「イブ、中まで来んなよ。目立つ」

「こちらは?」

佐久間伊吹は目の前まで来ると私を見下ろす。

「あ、先輩の白石琴さん。白石さん、これ俺の兄貴です」

あ、兄貴…

こ、こんな真面目な佐久間君の兄貴が、こんなふざけた女好きでお絵描きだらけなのに世界で活躍するF1レーサーの佐久間伊吹!?

私の脳みそはショート寸前だ。

もうフリーズ。

似てなさすぎる。

「へぇ…白石琴さんね。どうも、はじめまして。兄の伊吹です。弟がいつも大変お世話になっております」

ハジメマシテ?

何度も会っとるやろがい!

口元にだけ笑みを浮かべ私を見下ろしている。

「あ、あはは…ど、どうも、白石です。こちらこそ弟さんには大変お世話になっておりますー」

そう言って私と佐久間伊吹はもう無言で目を合わせバチバチと火花を散らす。
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