来世にこの希望と深い愛を。
少しだらだらしていると、お母さんに

「もうすぐご飯出来るからリビングで待ってて」

と言われた。私はリビングのソファーに座り、スマホをいじる。

通知がきていないのに、こまめにメッセージを確認してしまう。もちろん、返信もきていないし未読のまま。

ご飯が出来たらしいから、ダイニングテーブルに向かう。

いつも通り美味しそうなご飯が並べてあって、お腹が鳴ってしまいそうになる。

いただきますと言い、ご飯を頬張る。

そんなとき、電話の着信音が鳴り響いた。

望深から。

なにか嫌な予感がしたけど、まだ決まったわけじゃない。私は電話に出た。

「緊急です。望深さんが大変です」

電話越しに聞こえてきた声は、望深じゃなくて看護師だった。

私の嫌な予感は、的中してしまった。

今までにない不安が襲ってきて、心臓もバクバク言っている。

「今すぐ病院に向かいます」

私はそう告げた。無意識のうちに声が震えていて、怖いんだ、と他人事のように思った。

「了解しました」

私は電話を切って、お母さんに事情を説明してから、急いで家を出た。

お母さんの返事も聞かないで、上着一枚も羽織らず、美味しいご飯も食べずに、ただ急いで家を飛び出した。

私は、今までで一番と言えるぐらいに速いスピードで走った。

冬の冷たい風が吹いてきて、手もかじかんできた。寒くて寒くて、せめて上着ぐらい羽織れば良かったとも思う。

でも、こんなこと関係ない。私は足を止めることなく、全力で走った。どんなに寒くても、疲れても。
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