御曹司様の一目惚れ人生ゲーム〜私はただ愛されたかっただけ〜花村三姉妹   葉子と仁の物語
それから数週間、サンプルができるまではメールや電話でのやり取りが続き、はっきり言ってホッとしていた。また、ユニフォームと並行で進めているホテル9(クー)のブライダル衣装については、主に圭衣が窓口になっているが、よくミーティングに同席させられる。




さて、サンプルも出来上がり、再び社長室でのミーティング。この日は運悪くお互い遅い時間しか空いておらず、夜7時に伺った。


スケジュール的に忙しい一日だったからか、体調がイマイチ……、でも、それだけじゃないって自分でもわかっている。元彼との別れから殆どゆっくり休めていない。違う、休みたくない。忙しい方がいいのだ。だって思い出してしまうから、あの痛み。


それに今月は十二月で、おばあちゃんの命日があった。毎年この月になると、なぜだか風邪をひいて寝込む。


もうそろそろ体と心が限界なのかもしれない。休んだ方がいいんだな、きっと。今日が金曜日でよかった。今、かなりヘトヘトでお腹も空いてきている。よし、これが終わればゆっくりできる。自分に気合を入れて、今日最後のミーティングを終わらせよう。


この日のミーティングでは、実際に従業員の方々にサンプルを試着してもらい、その感想を取り入れて、これに決定した。


よかった、あとは発注するだけ。ひと段落ついた……。




結局、終わったのが9時近くになった。


これなら牛丼屋に行けるな。早く帰ろうっと!


そんな私の思いを無視したかのような九条さんからのお誘い。


またですか?
マジですか?
早くここを出て、牛丼が食べたいのに。
本当に毎回しつこいな。


「結構です」


この時、空腹の上に疲れもあって、少々冷たくあしらってしまった。さすがの私も気まずくなり、速やかに荷物をまとめ、いつも通り一礼をしてドアを開ける。その時、不意に腕を掴まれ部屋に引き戻され、体が固まった。一瞬、元彼との記憶が蘇り、息をこらした。


えっ、何が起きているの?
ドアを背に壁ドン……、いや、ドアドン? されているの?
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