今夜、上司と不倫します 不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
数日後、運命の日が訪れた。
清良からメッセージが来て、『本日決行』と指示された。
とうとう、と亜都はごくりとつばをのみこむ。
今日の怜也は、ホテルのロイヤルスートでの会食を予定していた。
清良によると、この会食は嘘の予定だと言う。キャンセルになったと連絡を入れるから、そのままそういう流れにもっていけ、という指示だった。
肝心のところが雑、と亜都は頭を抱える。
どうやってそういう流れに持って行けばいいのか、さっぱりわからない。
とにかくやるしかない、と亜都はため息をついた。
夜、怜也とともに指定された高級ホテルに行き、ロイヤルスイートに入る。
テレビで見たことしかないような豪華な調度と部屋に、亜都はため息をもらした。
怜也は見慣れているようで、なんてことない様子で部屋に入っていく。
この部屋もいつかのレストランと同じようにアールデコ調で整えられていた。
すぐに女性従業員がワゴンを押して入って来て、紅茶をカップに注ぐ。ワゴンには美味しそうなケーキも載っていた。
スマホが鳴り、亜都は電話に出る。
「はい、琴峰です」
『私よ、準備は良くて?』
清良だった。
「はい」
亜都は短く答えた。声にはどうしても緊張がにじんだ。