今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
『まずは会食のキャンセルを伝えて。仕込みの従業員があなたにお茶をかけるから、あとは流れで』
「……はい」
 その流れこそ教えてほしいのだが、清良はそれを言わない。いや、言われても困るのかもしれないのだが。

『頼みましたわよ』
 そう言って、電話は切れた。

「なんだった?」
 怜也に聞かれ、亜都はうつむく。

「先方の都合が悪くなって、会食はキャンセルだそうです」
「そうか」
 怜也が答えたときだった。

「あ!」
 従業員が、手が滑った風を装って亜都に紅茶をかけた。
「あつっ!」
 思わず亜都は声を上げる。

「申し訳ございません!」
 従業員は慌てて頭を下げる。
「こちらへいらしてください。冷やしませんと」
 女性従業員は亜都をバスルームへと誘導した。

 脱衣所に到着すると、彼女は亜都に服を脱ぐように言った。
「服はこちらで洗濯してお返しします。その間はこちらをお召しください」
 本当に従業員なのでは、と疑うほどの丁寧さでバスローブを渡される。
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