今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
「お早く。清良さまの御命令でございます」
 やはりあの人の仲間だった。
 亜都は青ざめ、仕方なく服を脱いだ。下着までは脱げなくて、バスローブを羽織る。

「お衣装は洗ってまいります」
 従業員は怜也にも事情を告げて出て行った。

 どうしよう、と亜都は困惑する。
 服がなくて部屋から出られないのは亜都だけだ。怜也が自分を置いて帰ると言えば終わってしまう。

 そのとき、部屋のドアがこんこんこん、とノックされた。
 こんなかっこうじゃ出て行けない、と思っていると、怜也が対応に出てくれた。

「失礼します。当ホテル内に不審者が現れました。お部屋から出ないようにお願いいたします」
「このホテルで?」
 怜也がいぶかしげに尋ねる。
 警備もしっかりしている高級ホテルで不審者とは、という疑いが浮かんでいる。

「申し訳ございません。お連れの方にもお伝えください」
 そう言って、従業員は下がっていった。
 これも仕込みだろう、と漏れ聞いた亜都は思う。

「琴峰さん」
 声がかけられ、亜都はどきっとした。声の近さから、彼は脱衣所の近くにいるようだ。

「不審者が現れたそうだから、しばらく部屋から出られなくなった」
「はい」
 亜都はそれしか答えられなかった。
< 19 / 28 >

この作品をシェア

pagetop