今夜、上司と不倫します  不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
「亜都さんは失敗しましたのね。残念ですわ」
「お前の杜撰な計画で成功するわけないだろう!」

「キューピッドになって差し上げようとしましたのに」
「余計なお世話だ! 余命宣告を受けたなんていう嘘までついて!」

「そうでもしないと、いつまでも進みませんでしょう?」
「お前のせいで彼女の服がないんだ、さっさと買ってもってこい!」
 怒鳴り付け、怜也はスマホの通話を切り、スマホを亜都に返す。

「うちの妹が迷惑をかけて申し訳ない」
「妹さん、ですか」

「俺と君をくっつけようとしたらしい。妹はまったくの健康体だよ」
「そうですか」

 それで納得がいった。秘密の妻なんておかしいと思った。他言されたらバレるから秘密だと言ったのだろう。
 しかし、どうして相手に選ばれたのが自分だったのだろう。

「水木もグルだろう。でなければこんな予定は組めない。人事にも手をまわして君を秘書課に異動させたんだろうな。なんかおかしいと思ってたんだ」
 いつも冷静な秘書の水木恭平がこんな企みに加担するようには思わなかった。
 だが、彼女をコーヒー担当にして怜也を食事に行かせるなど、確かに怜也との接触を増やそうとしていた。

 ドアがノックされ、従業員が現れた。
 清良から連絡があり、ホテル内のブランドショップで服をいくつか見繕ってきたという。
 戸惑う亜都にかまわず怜也は幾何学模様の縁取りがついたペールグリーンのワンピースを選び、彼女に渡す。
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