今夜、上司と不倫します 不倫したら一億円もらえるって本当ですか!?
遅刻を免れた亜都はいつものように仕事をこなしてリターンキーを押し、うーん、と伸びをした。
ちらりと見た時計は十二時を指している。
「お疲れ、お昼いこ!」
同僚女性に声をかけられ、亜都は顔を輝かせた。
「行く行く!」
亜都のパソコン画面には彼女が作成していた『健康診断のお知らせ』が表示されていた。
「昨日、若くして癌になった人の闘病記をテレビで見たんだよね」
画面を覗き込んだ同僚が言う。
「私も見た。二十八歳、同い年だったから人ごとには思えなくて。早期発見て大事ね」
「生きてるうちにやれることやっとこって思ったわ」
「借金残して死んだら家族が大変よねえ」
「借金あるの?」
同僚が驚いたように尋ねる。
「大学の奨学金。返済が終わってないの」
「びっくりした。変な借金かと思っちゃった」
苦笑する同僚と一緒になって笑みを浮かべる。
実際には奨学金だけではない。
父の経営する工場が台風で大破して修理で借金を抱えている。
「奨学金を返さないことには結婚もできないよ。ま、相手もいないんだけどさ」
「私も」
二人で顔を見合わせて笑い、話にキリをつけて席を立った。