(二)この世界ごと愛したい
口を塞がれるので文句も言えない私は、心の中で不満を言うだけ。
そんなおーちゃんは、ここぞとばかりに長い長いキスを続ける。
キスの途中で、どこにそんな余裕があるのか。おーちゃんの手が私の手を掴んで指を絡める。
「っ…〜ッ。」
どこまでもあざとい。
可愛過ぎて死んでしまう。そして長すぎて本当に死んでしまう。
「っも……ぅ〜っ!」
声にならない叫びを聞き取ったおーちゃんが、渋々唇を離す。
「…戦は上手やのに、キスは下手やな。」
「っ!?!?」
ほんっっっと失礼!!!
「日も暮れて来たし、どうする?」
「どっ…どう…?」
「キスの特訓するか、今日は元気そうやから剣の練習付き合ってもええけど。」
迷うまでもない。剣でお願いします。
酸欠で肩が上がるが、私はすぐに剣に手を掛ける。今日と言う今日は、一太刀くらい入れてやる。
「今晩ちゃんと寝ることが条件な。」
「…う、ん。」
「やっぱ色気より血の気が勝つんやな。」
「……。」
ほっといてくれ。
こうして私はおーちゃんと稽古をして。一太刀は入れたかったのにそれも出来ず。
今度は違う意味でヘトヘトにされて、また肩が上がり疲れた私をおーちゃんが室内に連れて行きそのまま寝かせる。
オーバーワークさせるくらいなら自分が疲れさせて大人しく寝かせようと言う、おーちゃんに軍配が上がる。
横になるとすぐに眠ってしまう私を見て。
またもや唇を軽く重ねたおーちゃんが、可愛い顔で笑って苦言を漏らす。
「全然気を付ける気ないやん。」