(二)この世界ごと愛したい
城を無事に落とし、今日はこの場で勝利を祝う宴をするらしいパルテノン軍。
そんな中、私とおーちゃんはまた揉めていた。
「私はいいって!みんなと楽しんで!」
「あかん。お嬢もここにおり。」
「私まだやること山積みだし、カイにお礼も言いたいし。それに私達ここに二人でいるよりどっちか護衛に行った方がいいじゃん。」
「今はええねん。カイも分かっとる。」
やることもあるって言ってるじゃん!?
何でこう頑なに私をここに残そうとするんだ!?同国の人同士で楽しんでくれたらいいのに!?
「おーちゃん、みんな待ってるから行ってあげて。」
「功労者はお嬢やろ。」
「…誰も何も知らない方が良いこともある。私はアレンデールの姫だから、こんなこと本来褒められたもんじゃないんだよ。」
「あーもう。ほんま頭固いな。」
ツラツラとここに残らない正当な理由を並べる私を、おーちゃんがヒョイっと担ぐ。
「ちょっと!?」
「お嬢連れて来たでー。混ぜたってー。」
既に盛り上がり始めている兵達の中へ、私を担いだまま入っていく。
「オウスケさんお疲れ様です!」
「え!?オウスケさん自分の女戦場に連れて来てたんすか!?ベタ惚れ!?」
ちょっと待てい。
私はおーちゃんに連れて来られた彼女と言う設定なの!?
「まーな。離れへんって聞かんくて。」
「はあ!?」
「やから堪忍な。酒でも振る舞ったって。」
「おーちゃん!?」
私がいつ離れないなんて言ったの!?
有る事無い事悪びれもなく良く言えるな!?
「嬢ちゃん、オウスケさん休ませねえと。ほらこっち来て飲もうぜ。」
「わ、私は別にっ…」
「おーほなここ邪魔するな。お嬢良かったなー。」
私を担いだままおーちゃんがその場に座り、ようやく私も降りられるかと思いきや。
おーちゃんは更に驚く行動に出る。