(二)この世界ごと愛したい



その奇行に私を始め、周りの兵達も目が点になる。



座ったおーちゃんは私を降ろしてくれた。


降ろしてくれはしたが、そこはおーちゃんの足の上。後ろから抱え込むように動かないように、その腕は私を離さない。




「ん?」


「〜っは…離して何これ!?」


「お嬢が離れて行かんように。ほい、酒。」


「こ、この状況で…飲めと?」



後ろから私を抱えたおーちゃんは、また可愛く私の頭に顎を置いている。




「この状況で飲まずに何するん?」


「…仰る通りだ。」



確かに飲まないとやってらんない。


周りからの生温かい温もり混じりの視線も、後ろから直接触れる熱も、飲んで消化してしまいたい。



私はおーちゃんからお酒を奪い取り、そこから大いに飲みまくった。





「いやー微笑ましい。世界で今ここが一番可愛いぞ。」


「オウスケさんも楽しそうに笑って。このお嬢さん何者だ?」


「それがオウスケさんの新しい彼女らしいんだ。城に連れて来た時なんか、大声で怒鳴って服脱がそうとしたらしい。」


「はあ!?あのオウスケさんが!?」


「それくらい今回は…あれなんだろ。我慢出来ないくらい愛おしいんだろ。」



お兄さん方からまた生温かい視線が向く。


嫌だ嫌だ。私なんにも悪いことしてないのに、被曝してる。



なので必然的に酒のペースも上がる。





「やっぱ酒も強いなー。」


「…おーちゃんのせいで…私すんごい好奇な目で見られてるっ…!」


「気にすんな。キリないで。」


「そう思うなら離してくれませんか。」



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