(二)この世界ごと愛したい



「あ、オウスケさん来た!」


「オウスケさんベタ惚れっすねー。」


「待ってましたよー!」



正義のヒーロー。


みんなに人気者のおーちゃんを沢山の兵達が待っていた。




「ほんま元気やな。」


「嬢ちゃん寝たんですか?オウスケさん大丈夫ですか?」


「このままでええ。」


「いや、オウスケさん疲れますって。俺運びますよ。」



一人の兵が良心で私を別の場所で寝かせようと申し出て、手を伸ばす。




「触んなドアホ。」


「え…?」



その手が私に届く前に、触るなと怒る。


周りも驚きを隠せないその行動に、臆することなくその場にまた座るおーちゃん。




「お、オウスケさんの…ヤキモチ可愛い。」


「そんなんちゃうわ。可愛い言うな。」


「オウスケさんの大切な人に誰も変なことしませんって!」


「アホ、このお嬢死ぬほど可愛えんやで。信用出来るか。」



そんなこと言ってる本人も死ぬほど可愛いと、周りは微笑ましく見ているが。


おーちゃんは至って真剣だ。




「オウスケさんにこんなに愛されて、幸せな嬢ちゃんだな。」


「それはどうやろ。俺の片想いやし。」


「え!?片想い!?」


「結婚も断られたし。何せこのお嬢めっちゃモテる。」



和やかな雰囲気から一変。


周囲の兵達は沸々と怒りさえ露にする。




「信じらんねえ。オウスケさんを振るって、そんなことあるのか!?俺オウスケさんなら男でもオッケーです。」


「気色悪いこと抜かすな!?」


「俺もオウスケさん嫁に欲しいっす。」


「お前等ほんまにシバくで!?」




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