(二)この世界ごと愛したい




あのまま眠ってしまった私は、そのまま朝を迎えてしまう。


ただ、自力で起きたわけではなく。




「お嬢頼む、起きてくれ!!!」



そんなカイの悲痛な叫びが耳に届いたから、仕方なく目を開けた。




「ん…。か、い。」


「お嬢!もう限界や!店が潰れてまう!!!」



え?


もう何事?



寝起きの頭では上手く考えられず、私はただボーッとカイに手を引かれて部屋の外へ連れ出された。




「……。」



眠い目を擦りながら、階段で立ち止まった。


これ以上進みたくないと言う本能だ。




店内を見たら、眠いはずだったのに眠気が飛んだ。


それくらいカオスな現場だ。




「どこ行くねん、お嬢。」


「……。」



思わず再び階段を上がろうとした私をカイが阻止。


どうやらもう逃げることは出来ないらしい。




「…えー…っと。」



どこから手を付けようかな。


カイとおーちゃんが不機嫌なのは昨日からなので放置でオッケー。


そして同じく昨日同様荒れ狂っているイヴ。


さらにさらに何故ここにいるんだ、シオンさん。




「まず、は。」



迷うまでもない。シオンだ。


私は素早くシオンの側に移動して、少し驚いたシオンの腰から剣を奪い取る。




「おはよ。」


「は?」



この人に剣を持たせたままでいると危険なんだ。






「表出んか!このクソ小娘があ!!!」



だって、このイヴがいるんだもの。





< 1,039 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop