(二)この世界ごと愛したい



仕方ない。


シオンは嫌がるだろうが、諦めて貰おう。





「イヴ、本当に落ち着いてね。ここに居るシオンさん、ハルのお友達なの。」


「は?」


「ハル、さんの…ご友人…?」


「そうなの。今ならまだ私から口聞いてあげるから、とにかく落ち着こう。」



瞬時に嫌そうにしたシオンには悪いが、もうそう言うことにしてくれ。あながち嘘でもないんだし。




「…嘘だ。ハルさんの友人であれば、貴様に手を出すことはなかろうが。」


「シオンのこれは通常スキンシップなの。誰にでもこうなの。」


「おい。」



お願いだからシオン口挟まないで!?


こっちも寝起きの頭で頑張ってるんですよ!?




「ではハルさんのご友人、その愚か者から離れよ。儂が地獄に送ってくれる。」


「わー待って待って。挑発やめて。え、もうどうしよう。」


「やはり嘘かこの碌でなしが!!!」



嘘じゃないのに!ハルとシオンが淡泊なせいで!


友達なんだから普段からもっと仲良さそうにしてくれよ!?




「そして貴様ハルさんをきちんと出迎えたんだろうな。」


「…戦の後の話ね。アレンデールに帰る前にハル、ここに迎えに来ちゃったから。出迎えてはないかな。」


「それでまたここへ戻ったのか。またハルさんから離れたのか。」


「ここまで送ってくれたのもハルだから。そこに文句があるならハルに言ってよ。」



ハルには悪いが、私はもう聞きたくない。


この手の話はシオンの前であんまりしないでほしい。




「お前はどこまでも罪深い女だ。」


「あーはいはい。それで良いからこのお話やめよっか。他国であんまり騒がないでー。」


「早くハルさんの元へ帰れ。一体いつまでお前はフラフラ出歩いておる。」


「…はぁ。」



だめだー。もう諦めたいー。




「…剣。」


「シオンまで酷い。これ以上私を疲弊させるのやめてー。」


「すぐに息の根止めるんで。もう疲れない。」


「怖いこと言わないでー。」



私にまた剣を返せと言うシオン。


そしてサラッとイヴの命を狙っています。もう二人戦わせるのも良いかもしれない。でもシオンは本気で遠慮はしないよな。




「…その銀髪、もしやエゼルタの?」


「気付くの遅……あれ?イヴ何でシオンのこと知ってるの?」



出不精のイヴが、他国の将軍を知ってるなんて。そんなこともあるのか。





「いつだったか。アレンデールでの式典で、貴様の檻に潜り込んだのも銀髪の童だったと聞いたが。」


「…よーし。イヴお外で話そう。私相手やるよ。」


「ハルさんは大変遺憾だった。その者と内通するとは…どこまでハルさんを愚弄する気だ。」



再びイヴが私を捕らえようと動く。


てか、内通なんかしてないけどね!?





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