(二)この世界ごと愛したい
…ドクン。
大きく胸が波打つ感覚がした。
気にしなくて良い。イヴは元々こう言う人だ。ハルが大好きで、私のことが嫌い。分かっていたことだ。
だけど、このイヴの言葉には…思わず目頭が熱くなる。
私はそこをどうにか堪える。
「…その辺、割と触れられるの嫌なんだよね。」
「だから何だ。儂には関係ない。」
「…だね。確かに私はハルの存在を音で認識出来る。ハルはどうしてるのか知らないけど。」
「知っている。昔からそれが腹立たしくて仕方なかった。」
これを知ってるのは家族と、イヴ。
私からは話したことはないと思うけど、るうはたぶん気付いてるだろうな。
「そんなイヴを今日も負かしてあげようかー。」
「何だと?」
「イヴは今まで一度だって私に勝ったことないよね?その理由話したことあったっけ?」
「知りたくもないわ!!!」
自分の敗因を知ることは大事なことだと思いますよー。そうやって人は成長するんですよー。
「イヴはハルよりも軍の使い方分かってるよね。」
「恐れ多いわ!!!」
「実は私、そう言う人の方が戦いやすいんだよね。」
「馬鹿にしてるのか貴様!?」
うるさいなー。
ここは静かに聞いてほしいものだ。
「イヴの悪い癖だよ。熱くなるとすぐに我慢出来なくなるもんね。」
「お前が意地汚い手を使うからだろうが!?」
「そこが狙いやすくて攻めやすい。予想もしないことが起こるとイヴはいつも数秒だけ隙が出来るのも、直さなきゃダメだよ。」
「…良い度胸だ。その頭叩き割ってくれる。」