(二)この世界ごと愛したい
お決まりの大錐を片手に持ったイヴが立ち上がる。
喧嘩っ早いのも直しましょうね。
「イヴはここでも私に勝てないよ。」
「ああ!?」
この場の皆さん。
何度も何度も、イヴがご迷惑お掛けして本当に申し訳ございません。
もうご安心ください。
私の核心に触れた時点で私はただでは許しません。
「私が一番嫌なことしたんだから、イヴも味わうと良いよ。」
私はそんなに優しい人間ではありません。
「イヴはハルが大事で仕方ないんだよね。そんなハルを守ろうっていつも頑張ってくれるから、私はイヴのこと嫌いじゃないよ。」
決して心が綺麗なわけでもない。
「ずっとそのままでいてよ。ハルを傷付ける人は許せないから、私も気を回すようにしてるの。」
立ち上がったイヴの間合いに自ら入る。
さらに自ら地雷を踏み付ける。
「…この世でハルを苦しめるのは、私だけじゃなきゃ嫌なの。」
その言葉を聞いたイヴが、目の前にいる私の胸倉を掴み上げる。
足が浮きそうです。イヴ無駄にデカいから。
「この世に未練はないんだな?」
「そうやってすぐ熱くなってくれるから、イヴとの戦はやり易いんだよ。」
掴まれたままだけれども。
私は逆にそんなイヴの襟元を自分の方へ引き寄せる。
内に秘めた怒りをぶつける様に、私は自分の唇をイヴの唇に重ねた。
ほんの数秒。
たったそれだけで、私は勝利を確信し口角を上げる。
「また、私の勝ちだね?」