(二)この世界ごと愛したい
ソルじゃなければね。
別にゆっくり時間を掛けて策を練って挑むが吉なんだろうけど。何せ土地が広いのと人口が多いので、削れるだけ削り続けたい。
「ハルさん、儂も加勢するか?」
「イヴ兄様はだめ。ヤハネは今は動かないで。」
「…リン姫よ。儂はハルさんの力になりたいんだ。」
「大丈夫だよ。ハルその辺なんにも分かってないから。」
株を上げたいイヴが名乗りを上げたが、私がそれを阻止。
ソルとの戦争にヤハネは関わらせない。
「リン!?お前当たりがキツくねえか!?」
「えーそんなわけないじゃん。ハルが会いに来てくれたから嬉しいよー?」
「かーわーいーいー!!!」
叫びながら私を抱き締めるハル。
ごめんね。内心ではもう帰っていいよって思ってます。ハルうるさいから。
「ハルはイヴと会うの久しぶりなんじゃない?」
「そうだな。」
「たまには二人でゆっくりお話したら?」
「…俺はお前と居たい。」
つい先日まで一緒に居たじゃん。私も寂しかったから強くは言えないけどさ。
「ハルがいないとお城のみんな困るから。」
「知るか。」
「…私のためなら頑張ってくれる?」
「……。」
知ってるよ。頑張ってくれるんだよね。
それを表すように、ハルが私からそっと離れた。
そして、一枚の紙を私に差し出す。
「エゼルタ王から、お前宛の招待状だ。」
「…悪いけど、城から返事書いて届けてあげてくれる?」
「お前書かねえのか?」
「ここには国璽がないからね。」
「はあ?」
国璽。
つまり、国の印を押して欲しい。
「内容はまた考えとくから、そこに押しといてー。」
「国璽って、お前どんだけ重要文書にするつもりなんだよ。」
「たぶんエゼルタには私の嘘は通用しない。私が国と関わりがあるのを隠し通せない。隠せないなら、私はその権力も盾として使おうかなーと思って。」
パルマの一件が、私の自作自演だと。
たぶんエゼルタの総司令さんは読んでしまえる人だ。ならば、利用するまでだ。
「私に何かあったら、絶対助けに来てね。」
「…弱気なまま行くつもりなら行かせねえぞ。」