(二)この世界ごと愛したい



離れたくない欲がまた顔を出し始めるが、ここで私は外から人の気配を感じ取り。


ハルとの時間はここまでだと悟る。





「ハル様っ!!!」


「げ。」



現れたのはハルの側近。


以前この酒場に来て私を連れ戻そうとしたアレンデールの重役中の重役。




「国外逃亡とは何事ですか。」


「逃げてねえよ!俺はリンの頼みを叶えに来たんだ!」


「公賓のお客様がいらっしゃっているこの時よりも大事なご依頼だったんですか、姫様。」



おい。


怒りの矛先が私に向いたぞ。




「届けて欲しいって頼んだけど、ハルが来ると思わなかったの。」


「…姫様がそう仰ってますが。」


「…公賓なんてさっさと帰せばいいんだ。」


「今すぐ城にお戻りください!!!」



ハルは怒られて別の人に受け渡され強制送還。


私は声を掛ける間もなくすぐに側近に詰め寄られ、更に何故か怒られた。




「姫様も、ご自分の立場をしっかりお考えください。姫様から文が届けばハル様が取る行動はお分かりでしょう。もっと行動に責任を持ってください。」


「ご、ごめんなさい。」


「エゼルタ王から招待を受けたと聞きました。決して非礼な行いは慎んでください。」


「…努力します。」


「無闇に剣を抜くこともいけません。姫として重々慎ましい態度を心掛けてください。姫様はやる気を出せばそれなりには見えるんですから。」


「それなり!?」



相変わらず手厳しい人だ。


そしてこのお説教は今度はいつまで続くんだと、若干気が遠退いて来ました。



そんな私に助け舟を出したのは以外な人物。





「まあまあ、リン姫は変わらず麗しい。それだけで大抵のことは罷り通るでしょう。」


「これはこれはイヴ将軍。いつもハル様と姫様をお気遣いいただきありがとうございます。」


「何かあればいつでも申してくだされ。西の果てから飛んで参る故。」


「有り難いお言葉痛み入ります。では、私はこれで。」



イヴありがとう!!!


初めて役に立ったじゃん!!!




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