(二)この世界ごと愛したい



正直なところ、ハルがいればアレンデールは落ちない。


そして今、新たな将としてるうが控えてる。



今のハルとるうが揃って負けるなんてまず有り得ない。だから心配はない。





「それに、レンも心配だしねー。」


「レン…か。」


「せっかく羽を伸ばして過ごしてるところに、水差すことしたくないし。」


「…最後に会った時は忙しそうにしてたなあ。」




忙しい…のか。


会いに行かなくて正解だったな。




「元気ならいっか。」


「そういや、会わなくていいのかよ?レンは待ってるんじゃねえの?」


「…うん。今はいい。」




レンにはレンの生活があるんだし。


忙しいなら尚のこと、邪魔はしたくないし。





実際は、少し怖かったりする。




会ってしまえば、また。



…離れたくなくなりそうで。






「……。」


「じゃあ皆さん明日もよろしくー。明日はボール遊び剣ありでやるからねー。」




私の言葉に硬直する隊員の方々。





「じゃあお先にー。」




先にシャワーを済ませたい私は誰よりも早く広間を出る。



そこへハナちゃんが用意してあるよと声を掛けてくれて、お礼を伝えてそのまま向かった。





「…私を、越えて。」




シャワーを浴びながら、呟く。


自嘲も漏れるそんな言葉は、私の本音。



本当にアキトに越えてほしいと、アキトなら越えられると思ってる。





…だけど。





「私も、もっと強くならなきゃ…。」





そう思わずにはいられない。




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