(二)この世界ごと愛したい
そしておーちゃんは、何やら考えてから私に頭を下げた。
「ごめん!」
「え!?何が!?」
「ハルのこと言われるん嫌やったんやろ?」
「あ…いや…。それも別に…結局私が悪い、ような気もするし。」
ハルの私への想いを、侮らないで欲しいと思ったので。巡り巡って私の責任でもあるので。
…そこを話してない私が、悪い。
「ハルは…ね。私を怒らないんじゃなくて、怒れないの。私はもっと、ハルの本音を聞いてみたいって思うんだけど。ハルは大事なことは何も言わないの。」
「……。」
「私達はお互いの感情も共有しちゃうから、大体のことは分かる。あの時、多少私にもちゃんと怒ってたよ。でも、怒ることが出来ないハルを…悪く言わないで欲しいの。」
「…ごめん。」
こんなことを人に話すのは初めてだ。
そして素直なおーちゃんは、しゅんとしながらちゃんと謝ってくれた。
「全然大丈夫!そもそも私が言わなかったんだし!ハルもたまには本当に怒ってもいいと思ってるし!」
「…そんなにハルって怒らへんの?」
「いやそれが、私が危ないことしたりお城から脱走したりするとビックリするくらい怒るの。城中に怒鳴り声響くくらい怒る。」
「え、その怒る基準何。」
「基準で言うと、私に危険があることなら怒る。」
逆にそれ以外であんまり怒るイメージない。
パルマの街襲撃行く前にも怒鳴られたけど、あれは私が傷付くのを見越して怒ったんだから。