(二)この世界ごと愛したい
その後その場で二人で飲み始め、周りのお客さん達も交えながら楽しく過ごしました。
今のトレンドニュースは、やはりこの国がエゼルタに勝利して城を落としたこと。そして、ディオンでどうやら新しい王子がお生まれになったらしい。
そんな明るいニュースを嬉しそうに話す皆さんを見て、私もほのぼのした気持ちになり自然に笑みが溢れた。
「ほな、そろそろ閉めるでー。」
そんなカイの声で、それぞれお会計をして退店するお客さん達。
「嬢ちゃん次はいつ来る!?」
「明日は!?」
「んー…、ねむい。」
閉店時間には私の眠気もピーク。
明日のことなど分かりません。ここにはいるだろうから、私に体力が残ってればいるかもしれない。
「「可愛いっ…!」」
私を見て褒めてくださるお客さんを、おーちゃんが摘み出し。私の飲み代も含めた代金をお支払い。
「飲む量全然可愛ないっ!」
「…ごちそうさまでしたー。」
私の酒代に文句を言いながらも、今日も奢ってもらったのでお礼はしっかり伝えました。
さて。
本来ならこのままお風呂に入ってすぐ寝るんですが、今日はそう言うわけには行きません。
「ちょっと風に当たりながらでも、いい?」
「……。」
早く寝たいあまり、私からシオンに声を掛けた。
頷くだけで返事はない。
「あー…夜風当たると少しお酒抜けるよねー。」
「…ですね。」
お店の前でお話することにしました。
私があまりお店から離れなかったのは、この狼が邪だからです。いざと言う時は助けを呼びたいからです。
「…どうぞ?」
「……。」
「シオンが誘ったんでしょー。」
「…話は特にないです。」