(二)この世界ごと愛したい




…ほう。


何故呼び出した!?何でこのアポイント取った!?





「…ない、の。」


「……。」


「…?」



突如、シオンが私の髪に触れる。


ツインテールの尻尾部分を、くるくると指に絡めて遊び始めた。




「…私もう寝ていい?」


「は?」


「…すみません。」


「…貴女がエゼルタに来る時、俺に関わるなって言いましたよね。」



言いました。


それが一番楽だし動きやすいので。シオンと関係があると悟られると、そこを突かれて動けなくなることを危惧しているんです。




「俺もそれが良いと思ってます。」


「うん。」


「…でも、急を要する時は動きます。」


「じゃあ気を付けます?」



そんな事態にならないことを願いたい。





「陛下とは、何かあるんですよね。」


「…面識はなくてもね。私はあの人に恨まれてる…からね。」


「陛下が貴女を?」


「会ってみるまで分からないけど、あの人には…殺されても文句は言えない。」



許そうとしてくれてるみたいだけど、いざ私を目の前にしてどう思うか分からない。





「…大事なものを…私が奪ったの。」


「……。」


「あの人は葛藤してるんだよ。私を許すか許さないか。」




これは賭けでもある。


初見に全てが掛かってる。許してくれないなら、るうだけでも早々に逃がしたい。




「貴女がその先の策を練ったなら、それが答えでは?」


「…そうだといいなー。」



許してくれるのなら、私も存分に働こう。


エゼルタの内政を掻き乱し、権力は正しい場所に戻したい。消えない炎を灯したい。





「…やっぱ無理だな。」


「っ…ん。」



話してる途中にも関わらず。


この邪狼は己の欲望のまま私の唇を食べてしまう。



お互いお酒は山程飲んだらしいので、ほんのりアルコールの味がする。





「っ…待って…!」


「何?」



グイッとシオンを押して、無理矢理離れた私。




「もうしないって言ったじゃん。」


「俺には関係ない。」


「ないわけないでしょ。シオンが怒ったのに、矛盾してる。」


「…じゃあ突き放して。」



何言ってるんだこの人。


勝手にキスしといて、今度は突き放せって。情緒不安定か。




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