(二)この世界ごと愛したい



突き放すって、何するんだ?どうやるんだ?


文字通り、突いて放すのか?



とりあえずシオンの胸をそのまま押してみる。放すのはもう離れてるからこれでいいのか。




「……。」


「……。」



やったんだから、せめて何か言ってくれ。




「…やってみたけど。」


「…馬鹿ですか。」


「試行錯誤したのに何でそんな言い方するの。」


「俺が貴女を嫌うまで。」


「漠然とし過ぎ。逆に今好きなんですか。」


「……。」



そこで黙れると私がキツい。と言うか痛い人みたいで可哀想。


そして嫌うまで突き放せって注文もムズい。




「っ!?」



また邪が私の唇を狙うが、ここは阻止。


私はシオンの口を思いっきり押さえることに成功した。




「やめて。」


「何で。」


「…何でも。」


「嫌いになる?」



…意地の悪い質問だな。




「なるって言ったら?」


「やめない。」


「ならないって言ったら?」


「やめない。」



何だこいつ。


どっちにしてもやるんかい。





「…嫌いになりたくないからやめて。」



私は自分なりにベストな回答を見つけた。





…つもりなのに。



私の手を強引に引き剥がして、ここも強引に唇を奪われる。




何の茶番なの。さっきの問答も全部無意味。私の両手も離さないまま。



私はまた狼に捕食される。





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