(二)この世界ごと愛したい
「サクが戦に出てる時、ハナちゃんはサクを信じて待つでしょう?」
「もちろんだよ!」
「…私にはそれが出来ない。」
「それはリンちゃんが強いから、戦場で戦う力があるからで…。」
私が戦場に行きたいと思った理由は。
力があったからじゃない。
「強さって、信じることとイコールだと思うんだよね。」
「え?」
「…信じて待つって、私にとっては何よりも怖いことで。頑張ってやってみようと思ったこともあったけど、どうしても出来なかったの。」
「…?」
待てないから、戦場に出ることを選んだ。
「…私は、人を信じることが出来ない。」
信じることが出来ないから、自分の力で守り抜くことを選んだ。
「だからたぶん、この城で実は私が一番弱かったりするのかもね。」
「信じ…られないの?」
「少なくとも私には何より難しいことで、私の最大の欠点でもある。」
「信じられる人は、ちゃんといる?」
心配そうなハナちゃん。
そんな心配を打ち消すべく、私は笑う。
「この世にたった二人だけね。揺らぐことなく信じられる人がちゃんといる。」
二本の剣を無意識に握り締める。
「そっか…。よかったけど、もっと増えると私も嬉しいな。」
「増えるかなー。」
「増やさなきゃ!だってリンちゃん世界を飛び回っちゃうんでしょう!?二人じゃ足りないよ!?」
「それが出来れば良いんだけど。これが本当に中々難しいんだよねー。」