(二)この世界ごと愛したい
ハナちゃんの爪の垢を煎じて飲みたいです。
そしたら私も、信じて待つことが出来るようになるかもしれない。
「だからハナちゃんは強いよ。私なんかより全然。そんなハナちゃんがいるから、サクが強くなれる。」
「そうなのかな?サクくんの役に立ててるかな?」
「絶対そうだよ。戦場に出たことある私が言うんだから間違いないです!」
「…リンちゃんはそんな人いないの?」
そんな人とは。
ハナちゃんにとってのサクのような。
サクにとってのハナちゃんのような人…ってことだよね。
「うーん。もう何回も聞かれるんだけど、正直必要性を感じないというか…。私は単身で飛び回る身だし、そんな人作っちゃうと心配かけるだけだしなー。」
「でも帰る場所があるって、心強くない?」
「それでいうとアレンデールに家族がいるし。ハナちゃんみたいな強い人がいるなら考えてもいいけどねー。」
「えっ、私!?」
私に指名されたハナちゃんは可愛らしく慌てている。
「普通の夫婦とは立場逆だけど。でも私にとってはその方が都合が良いかもしれない。」
「リンちゃんの旦那さんになる人は家庭的なタイプがいいねー!」
「そうなの!私本当に昔から身の回りのことさえ自分でなんにも出来なくて!とりあえずこの城を出たら、次は仕事探しだから私も色々覚えなきゃ!!」
「リンちゃん働くの!?」
今だってトキに働かされてるけども。
これは私向きな仕事で、いざ外にこんな都合のいい仕事があるかと言われるとそうじゃない気がする。
…朝寝坊オッケーな仕事が理想です。
「仕事して国に借りたお金も返さなきゃだし。意外と私状況ヤバいのかもしれない。」
「リンちゃん壮絶な人生だね…。」
結局パルマの街の復興は、私の私財で事足りたのか。ハルとるうが賄ってくれたのかも知らないけど。
でも豪華な街にするってハルが言ってくれたから、きっと莫大なお金が掛かることだろう。