(二)この世界ごと愛したい



「おかえり。白狼と仲直り出来たか?」


「…いやもうずっと機嫌悪かった。途中逃げようかと思った。」



私とシオンの仲違いを心配したカイが、戻ってすぐに声を掛けてくれる。


けどまあ、もう大丈夫でしょう。




「今日は各国の兵達が集まる日やったなあ。」


「カイのお店有名なんだねー。」


「どう見たって俺宛の客なんかおらんかったわ。皆んなお嬢に会いたかったんやろ。」


「…イヴ以外ねー。」



唯一のクレーマーでしたもの。


大変ご迷惑お掛けしました。すみません。




「お嬢顔色悪ない?」


「んー?少し疲れた…かな?」



私の顔色が悪いと心配したおーちゃんが、ヒーローさながらに私を抱える。




「もう寝とき。」


「私歩けるつもりー。」


「あかんあかん。カイ、とりあえず上まで持っていくわ。」



カイはお店の後片付けをしながら、おーちゃんにヒラヒラ手を振るだけ。


そのまま上の部屋に連れられた私。




「私お風呂入りたいんですが。」


「ん。」


「ん?」


「行ったら?」



…あなたは???




「…え?おーちゃん帰らないの?」


「お嬢が寝てから帰る。」


「あ、はい。」



良く分からないおーちゃんのスケジュールですが、ここは気にせずお風呂に入ります。


髪の毛もお化粧も、しっかり落として寝なければ。


私は一ヶ月後にお姫様とバトルするので。生まれて初めて外見への気配りを意識しています。




「…あー…。」



シャワーを浴びつつ、鏡を見ると。


おーちゃんが顔色が悪いと言った意味が良く分かった。酷い顔だ。いつもに増して疲れの色が強い。




「この馬鹿龍。もう少し優しくしてくれても良いじゃん。」



原因は分かってはいる。


火龍の力の使い過ぎだろう。今日は二箇所で作業したし、移動にも使った。積み重なるものもある。



それを認識した途端、更に襲い来る疲労。



何とかシャワーを浴び終えて、もう事切れてしまいそうな意識でバスローブは着ました。そこまではちゃんと覚えてる。


しかし、脱衣所から部屋に戻るまで目を開けておくことは出来なかった。





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