(二)この世界ごと愛したい
お口が悪く態度も悪いのが、うちのるうなんです。
そしてそんなるうは何をしに来たんでしょう。
「新将さん、今日はどないしたん?お嬢に会いに来たん?」
「あー元気なら会おうかとも思ったけど。ハルがここに来たらしいから、一応口止めして来いって重役に頼まれてな。」
「…お忍びで来たことにしてくれってことか。わざわざこんな夜に。」
「そこは俺の都合で悪い。もうバタバタ続きで割ける時間ここしかなかったんだ。」
ハルがここに来たことを口止めるため、るうはカイへお金を手渡す。
「まいどおおきに。」
「あ、ついでにこれも。」
今手渡したお金とは比べ物にならない程の大金を、追加でるうはカイの前に置いた。
もう大きな袋に溢れんばかりの大金。
「…怖い。俺何握らされるん。」
「リンがあんたに金借りたって気にしてたから。足りるか?」
「金…て、お嬢にいらん言うたんやけど。」
「足りねえならまた今度持って来る。」
「いや、寧ろ多過ぎるて。その金ならたぶんこの半分で事足りるし。」
「足りてるなら良い。リンが世話になってる分として残りは貰ってくれ。」
相変わらずの太っ腹。
るうは蔵にどれほど溜め込んでいるんでしょう。
「こんだけ貰ったら毎日どんだけええもん食わさなあかんねん。」
「あ、じゃあアレンデール南部で手に入る珈琲豆に変えてやってくれ。リンが気に入ってる。」
「それにしたって多いて。」
「別に気にしねえよ。俺アイツにしか金使わねえし。」
新たなる強敵だと、カイは一瞬たじろぐ。
おーちゃんはそこも気にならないほど、未だ起きない私を心配してソワソワしているだけ。
「…こんだけ寝てるんなら、それまで結構動き回ってたんだろ。」
「え、ああ。どっかふらっと出て行って泥だらけで帰って来てって。最近は多かったな。様子見て行くか?」
せっかく来たんだし、私の様子を見て行くかとカイがるうに聞いた。
そんなるうは、おーちゃんに目を向ける。
「そんなに心配なら、少しだけ起こすか?」
「…起きひんねん。呼んでも呼んでも寝たまんまやし。」
「リンを起こすのは命懸けだ。特にこう言う時は中々起きねえ分寝起きも死ぬ程悪い。命拾いしたな。」
心配そうなおーちゃんを安心させるように、るうは笑う。
「…丸一日寝てんなら、起きてそろそろ何か食わせねえと更に食わなくなるし。ちょっと待ってろ。食わすついでに起こすから、あんま心配すんな。」
そう言って私の眠る部屋を聞いて、るうは上の部屋へやって来た。
眠る私がバスローブ姿なのを見て若干顔を顰めつつも、とりあえず起こしてから小言は言おうと先に起こす。
「…リン。」
「……。」
「全然朝じゃねえけど起きろ。また何日食わねえつもりだ。」
「…う。」
「下の奴めちゃくちゃ心配してんぞ。」