(二)この世界ごと愛したい
ママはハルの言葉を聞いて、何かを思い出したように突然また嬉しそうに声が明るくなる。
「シキ様のご長男ね!リンのお友達なの!?」
「ハルとも友達らしいですよ。」
「あらまあ!ハルとリンが揃ってお世話になってるだなんて!」
「…友達じゃねえ。」
ママは懐かしい思い出を浮かべながら、今日は本当に終始ニコニコで。
総司令さんの息子とハルが友達だと聞いて、私とも仲が良いと聞いて、こんなに嬉しいことはないと笑う。
「二世に渡って縁があるなんて、運命的ね。」
「二世?」
「パパとシキ様もお友達だったの。そう言うと今のハルみたいに嫌そうにするところまでそっくり!」
本当に縁とは凄いものだ。
パパとお友達の総司令さんと、息子である二人の交友関係。その態度まで似ているらしい。
…ハルは不服そうですが。
「ルイ、そのドレスに合う装飾も用意するから。一緒に届けてね。」
「分かりました。」
るんるんと軽い足取りで去って行ったママは、一人でぽつりと独り言を呟いた。
「エゼルタ国王様、シキ様…。どうかリンをお守りください。」