(二)この世界ごと愛したい
そんなハルに影響を受ける人間は、アレンデール以外にもいる。
場所はソル。
セザールから進軍し、その軍は開戦を目前に溢れる闘志を燃やしている。
「アキト行けるとこまでガンガン行って。それ以外考えなくて良いから。サクフォローよろしくね。」
「うっし。」
「隊長のとこに俺も…左右は良いんですか?」
前進あるのみと単純なトキの指令に喜ぶアキトと、冷静に他の戦場を顧みるサク。
アキトとサクは隊長変わればいいんだ。
「うん。もう全部使い切っていいから、早く終わらせよう。」
「いつになく急いでんなあ。」
「…ちょっとシオンに怖い情報聞いてね。早く終わらせて、俺リンに会いたい。」
「ああ!?会いてえのは俺だぞ!?」
シオンはトキに、情報を流した。
私が王に呼ばれてエゼルタ城へ出向くこと。総司令さんがそんな私をまた捕らえようと考えていること。そして、トキが私を娶らんとしていることが城中に知れていると言うこと。
トキからしても、身に覚えのない流言。
「今は俺の一大事なの。アキトは黙ってて。片が付いたら会わせてあげるから。」
「…リンが動き出したのか?」
「…たぶんね。あんな敵だらけの場所に自分から飛び込むなんて、本当に信じられないけど。」
トキはもう気になることだらけ。
とにかく、早く私に会ってその口から根掘り葉掘り聞き出すまでは落ち着かないと考えながら戦場に立っている。
「ってわけで、死ぬ気でさっさと勝ってね。長引くなら俺、ちょっと何するか分かんない。」
「「……。」」
目の前の恐ろしいトキを見て、電光石火の如く迅速に頑張ろうと再度気合いを入れることになったアキトとサク。