(二)この世界ごと愛したい



カイがそう言って笑うと、ママも同じように笑みを返す。




「私はあの子達の母親ですもの。」


「そらそうや。化け物みたいな長男長女やもんな。おかんもそら強いわ。」


「まあ!リンは可愛いですっ!」


「可愛さは分かるけど、あの子の戦に関する才能はもう父親も超えてるで。」



ママは私を化け物と言われ、むっと怒る。




「リンが可愛くて頭が良いことは知ってます。戦のことも私には分かりませんが、リンが努力して来たことも知ってます。」


「努力か、神の力か…微妙なところやけど。」


「神様は戦に関する力を与えたりはしません。」


「…たぶんあの子が授かった力は、万物の声が聞ける力なんちゃう?」




ママのような守護の力ではなく、ハルのような風を操る力でもなく。



万物の声を聞くことが出来るのが私の力だと。


カイは予想していた。





「確かに、そんな力もあります。巫女の一族にもそんな力を持った方が居たと聞いたことがあります。」


「俺はそれやと思うねん。」


「…リンは神様にとっても、特別な子なんです。アレンデールの伝説の力と、巫女の血が混ざった恐らく初めての血統。」


「そう考えるとお嬢はとんでもない力を持った子やねんな。」



希少価値の高い混血です。


アレンデールの火龍の力を持つ人間は、千年に一度しか産まれない。


パルテノンの巫女一族の力も、最後の生き残りであるママの血を引いた私達家族しか残っていない。




「だからこそ、神様はリンに初めての…特別な力を与えたんだと思います。」


「初めて…?」


「自分で選び取る神様の力。リンの望みを叶える力を授けたんです。」


「お嬢の望みって…。でも人の命に関わるような力はあり得へんやん。」





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