(二)この世界ごと愛したい
こんな理解のあるママがいてくれて、本当に私達はいつも救われている。
アルがいつでも明るくて優しいのは、こんなママと一緒にいることが多いからなんだろうな。
「…ラン。」
「はい?」
「今、辛くないか?」
「カイセイ様は変わらずお優しいですね。パルテノンも、以前と比べて豊かになったように見えます。」
もうママが乗って来た馬車は目前。
「巫女の力を無くしたからって理由で、この国が衰退したらランが気にするかもしれへんし。あの頃は死物狂いで仕事したわ。」
「…巫女の力に依存していたこの国の重役の方々を納得させるのは、大変だったでしょう。」
「ほんまに。けど今はもう誰にも文句言わせへん。」
「私も含めて、子供達の未来も守ってくださったんですよね。本来であれば私の血を引くのであれば、この国に返せと言われても可笑しくないことですもの。」
昔のパルテノンは、巫女の力を占有することで他国へ権威を振るっていた。
その血は例外なくパルテノンへ捧げられる。
「ランが悲しまずに…幸せに過ごせるなら、俺はそれでええ。」
「…ここにはお礼を伝えに来たんですけど。追加で我が儘を言ってもよろしいですか?」
「可愛い人の我が儘は聞くって、俺は昔から決めてんねん。言うてみ。」
「普通より早く父を亡くしてしまったので、ここで過ごしている間だけで構いません。どうかリンを、側で見守ってくださいませ。」