(二)この世界ごと愛したい
父のように。
私を側で見守っていて欲しいと。
「…分かった。」
「ありがとうございます。」
「…自分のことは、何もないん?」
「私は…。」
王妃として、今は王母として。
自分の望みは何かと聞かれると、ママには我が子のことしか考えることが出来なくなっていて。
考えてみても、特に浮かばない様子。
「変わらんのはランも一緒やな。たまには自分の我が儘くらい言いや。」
「か、考えてます…けど…。」
「…寂しいなら俺と文通でもするか?」
「えっ!?」
途端、ぱあっと明るくなるママ。
昔から縁のある人と、長い時を経て文通が出来ると言う嬉しさが思わず顔に溢れ出る。
パパが生きていれば他国の異性と文通など許すわけがなかっただろう。今だって全く問題ないかと言われれば微妙。
「ほな、何か浮かんだらいつでも言うて。」
「…カイセイ様は…独身のままだとは、存じていますけど…。不快に思われる方は…?」
「はあ?」
カイは何を気にしているのかと呆れる。
「だって…。」
「昔も言うたやろ、俺の心は一生ランのもんやって。」
「そ、それは…っ。」
「お互い立場もあるし家族もおるし、大切にしたいもんも変わったかもしらんけど。俺の心は変わらんよ。」
困り果てるママを見て、カイはまた笑う。
「名目は外交でいこか。お嬢の様子も心配なら伝えるし、ランも言いたいことあるなら適当に書いてくれたらええよ。」
「…私が、言いたいこと…?」
「食べたもんでもええし、その日咲いた花の話でもええし。楽しかったことも悲しかったことも、全部書いといて。」
そんなことを聞いては、楽しそうだとママもつられて笑ってしまう。