(二)この世界ごと愛したい
「ふふ、やってみます。」
「気負わんでええから、ゆっくりな。」
そんな可愛い文通の約束をした二人。
それでもどちらかと言われれば、嬉しそうなのはカイだった。
「次は息子も連れて参りますね。カイセイ様がお姿を隠されていることも存じておりましたので、今日は一人で来たんです。」
「長男じゃなくて次男の方にしてな。長男には顔割れてもうたし。」
「ええ、分かりました。」
カイが素顔を隠す理由。
いずれ私がこの事実を教えて貰えることがあれば、その時は改めて自分でお礼を言いたいと思う。きっとどんな理由でも、私のカイへの感謝の気持ちは消えない。
「気付けてな。」
「はい。カイセイ様も、ご自愛くださいませ。」
馬車が走り去るまでカイは見送って。
その馬車が見えなくなって、その場に思わず座り込む。
「…カイ?」
「…なあ、オウスケ。」
座り込んだカイに、遠くで見守っていたおーちゃんが駆け寄る。
「どしたん?」
「…これもお嬢が仕組んだんかな。」
「は?」
「まさかランに会えるなんて思わへんかってん!しかも文通出来る!ヤバない!?」
ぽかーんとするおーちゃんを前に、興奮が収まらない様子のカイ。
私はカイとママの仲なんて知らないし、文通することになるなんて勿論予知出来ません。
「文通で喜ぶって…。」
「最近お嬢とイチャイチャしとるお前には分からんやろうな!?」
「いや、最近は稽古しかしてへんけど。」
「ええねん。俺は文通がええねん。こんな楽しみが待ってたやなんて、仕事頑張って来て良かったわ。」