(二)この世界ごと愛したい
和やかにとはいかない車中。
まだまだるうは私を睨むように見ています。
でもここで、私の体内時計が睡眠の時間を知らせるように眠いと脳に訴える。
馬車の揺れも相まって、これがまた眠い。
「だから言ったんだよ。」
「…寝ないし。」
「いや、もう寝てろ。」
「大丈夫。私もう子供じゃないし。るうにそんなに考えて貰わなくても自分で出来るし。」
憎まれ口を叩く私に、ふわっとブランケットを掛けて更に睡眠を促するう。
「…お前のことなら、どうやったって四六時中考える。」
「っ…。」
「考えた上で寝てろって言ってんだよ。たまには言うこと聞け。」
「…は…い。」
るうは四六時中、私のことを考えてくれているらしい。
さっきまであんなに散々言い合ったにも関わらず、ここは素直に聞かねばならない。
るうの想いが強過ぎて、聞かざるを得ない。
「頭こっち。」
「っ!?」
「後ろ付けたらセット崩れるだろ。」
私の頭をそっと自分の肩に乗せるるう。
この気の回し方なんですよ。ワカさんこれだよね。良い男ってきっとこうなんですね。
「…ごめんね。」
「何で俺には謝るんだよ。」
「え?」
「さっきはアイツに礼言って、俺に詫びるのは納得いかねえ。」
おーちゃんにお礼を言ったのは、整えた身なりを褒めて貰ったからだ。
そして今るうに謝ったのは、さっきの言い合いは私に非があったと判断したから謝った。
それを納得がいかないと怒る意味が分からん。
「るうって、やっぱり変な拘りあるよね。」
「俺はお前のもんだろ。それをどう使おうがお前の勝手だ。礼は言われても詫びられる覚えはねえ。」
どこまでも、腹立たしいくらいるうだな。
「っ〜やっぱり寝ないっ!」
「…。(クソ。怒りが収まったら可愛いが止まらねえ。)」
「るうっ…!?」
るうの肩に置かれた私の頭に、更に自分の頭を置かれて戸惑う。
「じゃあ俺も寝る。お前ももう黙って寝てろ。」
「っ…。」