(二)この世界ごと愛したい
「っリ…!?」
「やっぱりアキトがいい。おにーさんごめんね?」
目の前にいたお兄さんにお詫びを言ったと同時に、私の身体は宙に浮く。
「…お前等全員覚えとけよ。」
私を抱えたアキトが私とお酒を飲んでいた人達に向けて、低い声で言い捨てる。
そのままアキトは私を連れて自室へ戻る。
「水飲むか?」
「やだ。」
「…もう寝るか?」
「やだ。」
部屋に着くなり、やだやだと駄々を捏ねる私。
それをどうしたものかと悩むアキト。
「まだみんなとお酒のみたいのー。」
「もうダメだ。」
「アキトいじわるー。」
「……。(もう可愛すぎてどうする。)」
私はアキトに降ろしてもらった寝台の上で、目の前に立つアキトを睨む。
「…その顔止めろ。」
「じゃあもっかい抱っこして?」
「はあ?」
「それもらめ?」
アキトは溜め息を吐きながらも、そのまま私を抱きしめてくれる。
優しくて、あったかい。
「…お前飲み過ぎ注意だな。」
「らいじょーぶ。」
「どこがだよ。」
「アキトがいるもん。」
私はアキトをぎゅっと抱きしめ返す。
「っ…。(これは、ヤバい。)」
「んー。」
「(どうする。マジでどうする。離れないとこれ以上はマズい。)」
「…うー。」
私はまだ浮遊感が抜けない。
なのでもうアキトに身を委ねることにしました。
「リン。」
「んー。」
「俺はお前の優しい兄貴じゃねえぞ?」
何をそんな当たり前のことを。
確かに王宮で初めて出会った時は、ハルに似ててすごく安心出来る。そんな人だった。
だけどいざハルが目覚めたら、嫌でも気付くその違い。
「ハルとアキトは…ちがう。」
「……。」
「にてるのに…ちがうの。」
「…そうか。」