(二)この世界ごと愛したい




アキトの手がそっと私の後頭部に添えられる。


アキトに委ねていた身体が、そっと後ろに倒される。





「リン。」


「やだ。」


「…まだ何も言ってねえし何もしてねえだろ。」




確かに私は寝台に倒されただけ。


その上にアキトがいるだけ。



だけどそんなアキトの目が、熱を持ったように見えたから。




「…いわないで。」


「……。」


「私もう、傷付けるの…やだよ。」




もう誰にも傷付いてほしくないよ。


だから言わないで。





「リン。」


「やっ…。」




耳を塞ごうとした手を、アキトが阻止するため両手共に押さえられる。



その先を、言わないで。












「…お前が好きだ。」





ああ。



やっぱり、ハルとアキトは違う。




ハルならここで、きっと言いたい言葉さえ私のために飲み込む人。





私はまた、断らなきゃならないのか。


傷付けなければならないのか。






「お前に惚れてんのは事実だ。だけど、俺はその先の話をする前にレンとケリ付けてくる。」


「レン…?」


「それまで言わないでおこうと思ってたのに。こうなったのはお前が悪い。」


「…わ、たし…。」




レンとのケリとやらが終わるまで保留にしろと言うことか。


てか、私に気持ちを伝えるのにレンに何の関係があるんだろう。そしてそれまでどうしていればいいんだろう。






「そのままでいい。それにお前にならどれだけ傷付けられても構わねえよ。寧ろやってみろ。」


「…ばか。」




るうみたいに。


泥酔後に朝になれば全部忘れてるなんて、都合のいいことが起こるといいのに。









「馬鹿はお前だって言ったよなあ?」




アキトが何故かニヒルな顔で笑ってる。





「へ?」


「お前、状況分かってんの?」


「じょうきょ…?」




< 130 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop