(二)この世界ごと愛したい
「アレンデールの王子だものね。結婚もそりゃするわよ!」
「あんな良い男、誰もほっとかないわよねえ。」
誰が結婚するって?
ハル???
流言なんて、尾鰭も背鰭も付く物。
ハルに限って結婚なんてあり得ないことを、私が一番良く知っている。
「お相手はどんな方かしらね。」
「それが絶世の美女らしいの!美男美女よ!」
絶世の…美女。
違う。
ハルはどんな美女より、絶対私を大事に思ってくれる。
…私が側にいなくても?
「はる…。」
完全に動けなくなった私の肩に。
ふわっとハナちゃんの羽織が返ってきた。
「…大丈夫ですか?」
「……。」
私はとりあえず羽織をぎゅっと握り。
シオン将軍から離れるため、固まった足を動かすことにした。
「……。」
「……。」
何か着いて来るんだけど。
気のせいか?
「……。」
「…私に用?」
「さっき助けてもらった礼でもと。」
「生憎私が助けたのは軍人さんの方なんで。気にしなくていいから。」
もう会わないつもりだった、この人。
嫌いな人なんてほとんどいないけど、この人のことははっきり嫌いだと言える。
…だからあまり関わりたくない。
「……。」
「…はぁ。」
街の外れまで来たけど、未だ数歩後ろにいるシオン将軍に痺れを切らしたのは私。
立ち止まってその場にあった木株に腰掛ける。