(二)この世界ごと愛したい





そして私はトキと城に帰って来ました。



そんな私が、アキトが迎えに行ったにも関わらずトキと帰って来たもので。


何故か肩を落とすサクとハナちゃんを不思議に思いながらもトキの部屋へと向かいます。





「…さて、リン。」


「稽古だよね!?一日飛ばしてごめん!?」


「そうだね。職務放棄はよくない。だけどアキトにも非があるからあんまり厳しいことは言わないでおくよ。」


「本当!?」




部屋に着くなりトキと向き合って座り、お説教を覚悟していた私に厳しく言わないと言ってくれたトキ。



よかったー。


アキト助かったよー。





「…シオンのこと、ごめんね。」


「それで言うと私もごめん。トキのいないところで聞いちゃって。」


「アキトが勝手に言ったんだからリンは悪くないよ。それにやっぱり謝るのは俺。あの連合軍をアレンデールに向かわせた根源は俺だし。」


「それはトキが悪いんじゃなくてお兄さんが悪いんであって。それにあの時既に予想して先に動いてたし特に問題ないよ。」




トキはなんにも悪くないです。


あの鬼畜兄貴が問題です。





…しかし。



こうなったら私も気になってることを聞いてもいいんだろうか。





「…ねえ、トキ。」


「ん?」


「答えたくなかったら全然答えなくていいんだけど。」


「うん。」




シオン将軍とトキが兄弟。


それ即ち。





「トキはエゼルタの人なの?」


「え?そうだよ?」


「…エゼルタの人と、結婚するの?」


「そうなるね?」




どう言った意図での政略結婚かは知らないけど、トキが上の立場か対等な関係の政略なら断ることも出来るはず。


だけど、トキの家が下の立場にある政略なら断るのは難しい。トキが結婚を望んでいないのに拒めないということはたぶん後者で。




そう言った立場での結婚となると。





「…じゃあ…結婚したら、トキはエゼルタに帰らなきゃいけないの?」


「……。」


「答えなくて大丈夫!込み入ったこと聞いてごめん!」




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