(二)この世界ごと愛したい



軍師って結構どの国でも重宝されると思う。


軍師家系ということは、トキの親御さんはそこそこ良い位の立場の人かもしれないと予想出来る。





…あーまた悪い癖だ。


勝手に人のことを読むのはやめねば。





「結婚で言うと、リンのお兄さんも結婚するって聞いたけど本当?」


「私もさっき街で聞いたけど絶対あり得ないよ!ハルは私に結婚しないって言ってたし!」


「…そっか。」


「それにハルとるうが私に何の相談もないなんて変だし!」




トキはどこか神妙な顔で考えている。






「俺さ、各国に間者を置いて情報をそれぞれから集めてるんだけど。」


「うん?」


「アレンデールからの報告では相手の素性までは分からないけど裏付けもあって、結婚の線はかなり濃厚らしい。」


「…でも。」




そうだとしたら考えられるのは、私が城を出たこの半月ない期間で決まったこと?


そんな短期間で結婚相手に巡り合って、結婚に至るものなの?




…それはない、よね?








「おい!トキ!!!」




トキの部屋のドアが大きな音を立てて開かれる。




開けたのはアキトで。


その後ろにシオン将軍もいる。





「アキトうるさい。」


「トキ今すぐシオンと話つけろ!んで今日中に国に送り帰すぞ!!!」


「急にどうしたの?」


「いいから早く!!!」




アキトさん。


その言葉ここに来る前に言って欲しかった。





私ずっと伝えてたよ!!!


シオン将軍嫌いだって!!!


その時は聞く耳も持ってくれなかったのに!!!





「シオン、アキトに何言ったの?」


「…さあ?」


「あんまり騒ぎにしないでよ。俺ただでさえシオンが勝手なことするからリンに謝ってたとこなのに。」


「別に謝ることじゃないだろ。連合軍の予兆は敢えて匂わせた。盛大に罠まで張ってたくらいだから、ある程度は想定内だったはずだけど?」





< 163 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop