(二)この世界ごと愛したい
私は敢えて匂わせられたわけね。
そういうことなんですね。
思わず顔が引き攣るのをトキにバレないようにするのに必死な私。
やっぱこの人腹立つ!!!
「あ、それで鬼人の結婚の話ね。」
「…もういいよ、トキ。」
「けどせっかくアキトも来たことだし、俺一つ確認したいことあるんだよね。」
ハルの結婚話なのにアキトに確認したいと言うトキだけど、私はもう正直参っている。
「ハルがどこの誰と結婚するのか知らないけど。私に何も言わないのは私に知られたくないことなのかもしれないし…。」
ハルとるうのことを、これ以上変に疑うことはしたくない。
今の私の軸である二人。
私が信じると決めた数少ない二人。
「そこをさ、鬼人と同じ感覚を持ってるアキトに聞いてみようと思って。」
「ハルの…感覚?」
私だって、ハルのことなら一番分かると思ってる。
けど自分のことには疎いとかそんなことも言われたなーとふと思い出す。
「リンってほとんど城から出てないんだよね?」
「それは…うん。戦の時と結婚した時くらいしか記憶にないかなー?」
生誕祭は城下町くらいまでなら出られたけども。
あとは昔脱走した時とか。それもすぐ捕まったけども。
「アキトは結婚するなら誰としたい?」
「リン。」
ちょ…っとさ。
君達は真顔で何を聞き合ってるの!?
「そんなリンが仮に妹だったら?」
「…それでもリンがいい。」
まるで私が見えていないかのように続く。
「何なのこの質疑応答!?!?」