(二)この世界ごと愛したい
新手のイジメですか!?
だとしたら成功ですよ!すごく困るしすごく恥ずかしいです!!!
「アキトだとそうなるってことは鬼人もそうかもしれない。それに王族な上に城から出てないってことは、リンはもしかしたら結婚の裏付けについて知らないのかもしれないよね?」
「私が…知らないこと?」
えーなんだろう。
自由になって今頃知ること多いんだよねー。
「もしかしてリン、鬼人の将印持ってるんじゃない?」
ハルの将印???
「…これのこと?」
私は恐る恐る荷物の中から半ば存在さえ忘れかけていたハルの将印を引っ張り出した。
それを見た一同、驚いています。
「え、何。これそんな怖いやつなの…?」
「…今回鬼人の結婚話が出回った原因がその将印なんだよ。」
「え?贅沢三昧の証でしょ?私ちゃんとハルにも確認したよ?」
「第一将が自分の手元からその将印を手放すのは、その想い人に生涯を誓う時だけだよ。だからイコール結婚と結び付くってこと。」
ん?
と言うことは?
「…ハル、結婚しない?」
「しないというか、出来ないよね。」
受け取ったのが妹である私だからと。
トキが補足してくれた。
…そっか。
やっぱり流言なんて尾鰭も背鰭も付くもの。
「…よ、よかったー…。」
私はその将印を握り締めて、目の前にいたトキにしがみつく。